デザイン部Web開発2025.03.24

デザイン部Webリニューアルについて、挑戦と成長の過程を振り返りながら語り合いました。

生声から課題を見つけていく

松村:デザイン部Webリニューアルのきっかけは、これまでのWebの老朽化でした。Webの耐用年数は一説に5年と言われますが、わたしたちのWebは7年以上経過していて、そろそろ変えるべきではないでしょうかと提案したのが始まりです。ユーザーからどう見えているか、デザイン部の伝えたいメッセージが伝わっているか、社内外の調査からはじめました。
部内で話を聞いていくと、メンバーによってデザイン部らしさの捉え方が異なることが見えてきて、「デンソーデザイン部って何だろう?」というアイデンティティの確認を丁寧に行う必要があると感じました。

デザイン部アンケート結果

吉田:自分が学生のときにデンソーデザイン部のWebを見ても、どんな会社なのかよくわからなくてモヤモヤしていたんです。(オフィスの様子を知りたくても棚の写真しかないなど...)私の入社タイミングがちょうどコロナが流行した時期だったので入社前のイベントもすべて中止で、入社するまで全く職場の想像がつかなくて、不安でした。勝手なイメージでお堅い人しかいないのでは...と怖かったんです。
Worksというコンテンツは当時からあったのですが、掲載されているデザインも車載製品やBtoB製品だと馴染みがないものも多くて、ビジュアル的なかっこよさはわかるんですけど、結局「これってなに?」ってなってしまって。どんな仕事をするのか想像できなかったんですよね。
そういった自分が抱えていていた不満をエネルギーにデザインに取り組んでいました。

旧Webサイト

「人」に焦点を当てたコンテンツ作り

吉田:就職活動をしていた当時、もっと"人"を知りたいと思っていたのですが、当時のWebには人間味が感じられるコンテンツがなかったんです。製品ごとに担当デザイナーの名前はあるけど、全然どんな人なのか想像もつかないのがもったいないと思っていたので、今回は"人"を見せたいと思いました。
そこでまずはデザイン部メンバー全員を載せるということを考えました。反対意見もありましたが、最終的に全員を載せることができてよかったと思います。顔写真がNGの人は自分で用意してもらった自由な画像を使ってもらいました。それぞれの写真は自由にした分、特徴的なトリミングで丸く切り取ることでまとまり感が出るようにバランスを意識しました。

松村:写真のトンマナを全体で合わせるか? という議論もありましたね。スキルや領域が異なるデザイナーがそれぞれテーマを持ち、研究したり、デザインしたりしている自由な気風を伝える方向性が固まり、トンマナを過度に「合わせない」ということにしました。一方で、レイアウトフォーマットで一定の統一感を持たせることで、バラバラな印象になりすぎないように設計しています。

吉田:ワークショップに参加した学生の皆さんが「Webを見たときのイメージと、ワークショップに参加してメンターと喋ったイメージが同じだった」と言ってくれてすごくうれしかったです。目指していたのはこれだったな!と思って。その一言に救われました。

松村:入社する前にデンソーデザイン部の雰囲気を感じられることが、ねらいのひとつだったので、嬉しいですね。

親しみのある研究者

吉田:デンソーデザイン部らしさについては、「デザイン研究集団」というキーワードが最初にマネジメント側から出ていたのですが、そのワードに対する共感度についてチームごとにヒアリングをしていきました。結果としてはチームによっても少しずつ感じ方が違うということがわかりました。研究的なアウトプットを行うチームは肯定的な意見が多かったですし、研究の印象はないけど、黙々と、どういう風に進めるか、みたいなニュアンスでは割と近いイメージを持っていたチームもありましたね。集まった言葉のニュアンスを崩さないためにも、出てきた共通項を「そもそも論を考える」「素直に実直に進める」という感じで短い文章にして並べて、ひとつのコンセプトワードみたいなものにあえてまとめずに進めていきました。 

松村:どうまとめていくか大変でしたが吉田さんが中心となり、月に一度デザイン部メンバーが集まり情報共有するイベント(オープンラボ)を活用して、みんなから意見を聞けるよう働きかけてくれました。 

吉田:オープンラボで出てきた言葉で「親しみのある研究者」というのがありました。私はそれが一番しっくり来たなあと思っています。デザインとして完成形をみせるのではなくて、研究ととらえると1回で終わるんじゃなくて成果発表しながら進んでいくような感じも合っているなと。 

松村:デザイン過程の試行錯誤をみせたい、というアイデアも出ましたね。 

吉田:ビジュアル面では、完成したWebサイトのTOPページなどで使っているスケッチが親しみやすさに繋がっているんじゃないかと思います。あのスケッチはすべてデンソーのデザイナーがデザインの過程で描いたものを使っています。最初は外注のイラストレーターさんに書いてもらおうか、という意見も出ていたのですが、今回はありのままを見せるという意味で、研究者のラフなメモをちょっと覗き見るみたいなイメージでスケッチをそのまま載せるのがいいだろうという結論になりました。 

ディテールへのこだわり

吉田:さきほど顔写真のトリミングの形に触れましたが、トップページではさまざまなカテゴリーの記事がランダムに並んでいるので、ラベルや写真の切り取り方でカテゴリーの違いを表しています。
その中でも、チャットカテゴリーの吹き出しの形を練るのが大変でした。ラベルの形で情報の違いを認識してもらいたい、文字がちゃんと入らないといけない、といった色々な制約を全部を両立できる形を考えました。
ディティールを作る感覚は、他のUIやプロダクトの仕事にも活きており、形のきれいさについてはロゴ作り等での制御点の少なさをみることに反映されています。

ふきだしの形検討

文章作りはこれまであまり経験がなかったですが、今回トーンオブボイスを考えていく過程がとても勉強になりました。口調も「らしさ」を伝えるのに非常に大切な要素だなと思いました。
各記事に紐づいているハッシュタグの言葉もそれが反映されていて、デザイン部の空気感を伝える良い要素になっていると思います。
また、最後の詰めで、レイアウトを1ピクセル単位で修正したのが記憶に残っています。タイトルと本文の間を1ピクセル空けてもらうような細かいやり取りをしました。今までそんなにシビアに見たことはなかったんですが、やってみると確かに違って。だんだん目の解像度が上がってきました。

ありのままを伝えるコンテンツ 

吉田:生の空気感を伝えるという意味で、最初は人がしゃべっている音声データをそのまま載せるというのも考えたんですけど、しゃべり慣れていないし、それを継続的に掲載していくのにコストもかかるなと。
そこでその代案として考えたのが社内のチャットをそのまま載せるという方法でした。
今思うと、Webに載せるとわかっていて緊張感がありながら収録した音声より、社内の人同士で話していた内容を持って来ちゃうほうが、より自然体な表現になった気がしてよかったなと思っています。

松村:チャットをそのまま載せる思い切ったコンテンツで、最初は内輪ネタで盛り上がっているだけに見えないか心配していました。でも、解析を見ると興味をもって読んでいただいていて、チャットに興味を持ってワークショップに応募してくれた学生さんもいましたね。(自動車)業界用語についてのチャット記事は隠れた人気コンテンツで、新規ユーザーがたくさん来てくれています。

解析も自分たちで

佐藤:デザイン部Webリニューアルプロジェクトに参加したのは、サーバー選びからでした。これまでWebに関する社内ルールや一般的なWeb知識に触れる機会がなかったため、最初は戸惑いましたが、やるしかありません。社内手続きに関しては、管轄部署の頼もしい方にサポートしていただき、無事に公開までこぎつけました。
しかし、公開して終わりではなく、ここから大事なのが運営です。年間計画を立てて進める中で、各チームから編集員を募った際に手を挙げてくれる人がいたのもデザイン部らしくて素敵だなと思いました。各自が忙しい中でも、チャットに掲載する面白い記事を見つけてきたり、記事を書いている部員をサポートしてくれるおかげで、多くの記事を公開することができました。
実は私、編集長なのですが、どうしてもそう呼ばれると照れくさいのです。しかし、この役割を通じて、多くの学びと成長を感じています。これからもデザイン部の一員として、より良いWebサイト運営を目指して頑張っていきたいと思います。
リニューアル後に解析ができるようになるまでの道のりもチャレンジでした。吉田さんが奮闘しているのを見ていたので、解析の設定ができないとなったら、私はこの場にはいられなかったと思います。そしていざ解析を始めると、それによってわかることが増えて、対策できることもみえてきました。そういう意味では解析は絶対に必要なことだとわかりました。

松村:解析はWebの重要な1ピースです。メンバーに定期的に共有して反響を感じてもらいながら、進めていきたいですね。引き続きよろしくお願いします、編集長!

吉田:全部部内でやっているというのがすごいですよね。デザイン部内で解析からWeb記事作るのまでやっているというのはあんまり聞かないです。全部自分たちでやろう!みたいな、そういった空気もデンソーデザイン部らしいなって思います。

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