[デザイナーの一日]
折笠弦2023.10.16

  • 目次

8:00 通勤

COVID-19が流行してからというもの、リモートワークが一気に普及しました。折しも私自身が大病をした直後だったこともあり、会社の素早い環境整備には非常に助けられました。
それでも今は週に半分程度出社している理由は、モノづくりの仕事に関わる上で対面コミュニケーションの重要性を痛感しているからです。創造的なアイデアは、やはり現場の人と人の閃きや直観がぶつかる一瞬に生まれ落ちるので、それを取りこぼさないためにはリアルの場に立ち会うことが役に立ちます。

9:00 出社

フレックス勤務制度は魅力的です。自分の最もパフォーマンスが出せる時間帯に勤務時間を合わせることが出来ます。とはいえ年次が上がると社内外とのコミュニケーションメール、電話、会議など)が増えるため、段々と世間の一般的な勤務時間帯に落ち着きます。
出社後すぐに取り掛かるのは資料作成です。この後控えている打ち合わせに向けて、必要な情報を取りまとめます。実質的なクリエイションよりもコミュニケーションにコストを割かなければならないのは会社員デザイナーの宿命です。

11:00 打ち合わせ

来月に控えた大きな展示会に向けて、広報部門、技術部門、試作部門と打ち合わせをします。オフィスに居ても今回のように出席者が多い場合は、オンラインで会議が開催されたりします。メンバーは工場で作業をしていたり、既に現地入りしていて出張先からの参加であったり、様々です。
自分の関わるパートについて用意していた内容を共有し、全体の状況に気を配らせます。インハウスのデザイナーというのは何でも屋です。誰かがデザインだと思うものごとはすべてデザイナーの仕事です。自分の作品、自分の表現を追求したいアーティスト肌の人にとっては窮屈に感じるかもしれませんが、目的遂行に向けてチームが一丸となって役割を果たし合う会社組織の在り方が、自分にとってはやりがいがあり、性に合っていると感じます。

12:30 昼食

この日は晴れていたので開放的な中庭で食事です。
どんな時でもご飯を欠かさないのが自分の信条です。欲求ともいいます。
エネルギーが足りないと分かりやすくパフォーマンスが落ちます。
今日のメニューは野菜の入ったベーグルサンド。健康的な一品です。一度身体を壊してからというもの、健康には気を使っています。ヘルシーでも美味しい商品を仕入れてくれている会社の売店さんには感謝です。

14:00 メンバーの進捗チェック

同じプロジェクトを進めていた若手メンバーから相談を受け、制作物の方向性と出来栄えをチェックします。
今取り組んでいるのはタブレットを使った情報提供サービスの新機能開発です。
画面系の仕事に限りませんがいつも重要視していることは、見えるもの、触れるもの、動くものを素早く沢山つくり、ユーザーの反応から当たりと外れを探ることです。
デザインの落とし所は顧客や依頼主の反応を確かめながらなので、最後まで自信はないことの方が多いです。だからこそ仕事をお願いするメンバーには仕事の現在地を出来るだけ丁寧に説明し、具体的なフィードバックを心掛けることで不安や迷いを少しでも取り除きたいと思っています。

16:00 デザイン作業

定時も近くなって、ようやく自分の担当するデザイン作業に取り組むことが出来ます。作業時間をどうやって捻出するかは永遠のテーマです。会社員スキルを上げないと、デザインする時間さえ確保できません。自分はこれで大分苦労したので、これから働く皆さんには覚えておいて欲しいです。
今日はモデリングの作業です。モデリングをする際には必ず手元にスケッチブックとメジャーがあります。手描きで形を確かめながら、長さや厚み、Rの大きさをメジャーで確認し、画面操作するという作業を交互に行います。
CADを学びはじめたのは入社してからですが、手描きのスケッチとCADを往復することでより立体造形に対する理解が深まったように思えます。作業に没頭すると次第に心地よい集中状態に入っていくのを感じます。

18:30 退勤

デザイン作業に入るとあっという間に時間が過ぎます。
多少仕事が残っていても、集中力の低下を感じたときは潔く仕事を切り上げるのが吉です。帰宅し、食事をとって自分の状態を整えてから短い時間でやり切るようにしています。

20:00 メールチェック、作業

夕食後、仕事の残りを片付けます。関係各所とのやり取りや明日の予定の確認、資料の準備などです。突発の案件が発生すれば対応が必要になることがありますが、幸い今日は大きなトラブルはありませんでした。こうして会社員の一日は終わります。
終業後に仕事のこと思い出すことはありません。自分を休め、元気にするための工夫を見つけることが、長く働くのには大切です。
私はそろそろ日課のデイリークエストを消化しなければならないので、この辺りで失礼いたします。それではまた別の機会にお会いしましょう。