1月にアメリカのラスベガスで行われたCESという展示会に、吉田と小川の2名で行ってきました。初めての海外出張でドキドキわくわくでした!今回はCESで見た中でも印象に残っているものについて語っていこうと思います。
吉田:今年のCES2024の大きな流れとして、 AI×モビリティがフィーチャーされていたように思います。
日本企業では、Sony HondのAFEELAが注目されていましたね。 AFEELAには、Microsoftと共同開発した車載用生成AIが搭載されていて、映像・音楽・ゲームなどの新しいエンタメ体験を提案しています。
インテリアで目立つのはやはり大きなディスプレイです。画面内のレイアウトを自由に変えることができます。スマホのようですね。3Dマップ上で楽しめるゲームも開発中だそうで、プロトタイプのナビの映像に恐竜や水中の様子が重ねられたイメージは見ていてとてもわくわくしますね。また、スパイダーマンやフォートナイトなど、好きなテーマにカスタマイズすることもできるようです。
吉田:エクステリアで一番特徴的なのは、前後にあるメディアバーでしょう。なめらかなアニメーションで天気などの情報やカスタマイズされたイメージに合ったグラフィックの他、車のそばにいる人を検知したときに、グラフィックに反映する機能もあります。自動運転が実現されていくと、このような周囲に「認知していますよ」とアピールする機能が今後もっと重要になりますよね。
機能面のモリモリ具合とは対極に、見た目はとてもシンプルで、ドアノブがないことも特徴ですね。ドライバーやその家族を認識して自動でドアが開くそうです。車にしてはシンプルなデザインは、家電のプロダクトデザインっぽさを感じます。
展示空間も同様に無駄をそぎ落としたシンプルな空間ですが、その中でライティングやCMFで雰囲気を作っていたところが印象的です。
小川:車以外の会社も、モビリティを通して自社のサービスを展示していました。
サムスンのAIアシスタントのBallieがかなりの人気を集めていましたね。デモの時間には人が多すぎて小さなBallieはほとんど見えなかったです(笑)
機能としては家の中を動き回りながら音声指示で家電を操作することや、目のような部分がプロジェクターになっているためシーンに合わせて映像を映し出すなどできます。すべて音声で操作できるため運動中や手の離せない料理などのシーンではとても活躍できるロボットだと感じます。
吉田:プロジェクター投影するときには、人の体制や顔の角度を自動で読み取り、ユーザーにとって最適な投影角度に調整することができるそうです。
プロジェクターになっている目の位置やかたち、体勢をささえるためについているしっぽのような部位、見上げているような姿勢など、人と一緒に暮らしていくキャラクターとして、かわいらしさもデザインされていますね。
小川:CES全体で感じた展示の印象として映像とリアルの空間を組み合わせた表現が印象的でした。
KIAではさまざまなユーザーのニーズに適応するモジュラー構造のコンセプトカー「PV5」を発表しています。展示でもPark City Factory Homeと4つの多様なシーンを描いて、その映像が親しみを感じられるローポリなかわいらしい表現をしていました。
また映像内で出てくる木や岩の映像表現をリアルの空間の展示にも反映しており、統一された世界観をつくりあげていることが印象に残っています。
小川:LGでは透明ディスプレイをすごくアピールしていましたね。
従来のディスプレイは、画面をOFFにした時、無骨な黒い四角が家の中に置かることになり、インテリアとのミスマッチ感がありますが、透明ディスプレイのOFF時は、存在を消しインテリアとの調和を図っています。そのような個人へ向けての使い方も良かったですが商用向けに使われる事例が面白かったです。
例えばケーキ屋さんの場合、ショーケースに透明ディスプレイを設置することで実物のケーキを見ながら値段だけでなくケーキの説明やカロリー、お店のロゴマークなどさまざまな情報をお客さんに伝えるツールとして活用できます。電車では窓を透明ディスプレイにすることで次の停車駅の情報や車窓から見える観光地を説明することにも使えます。
視線を移すことなく奥行をもって情報を伝えるアイデアはこれから他の分野でも活かし方がありそうですね。
小川:Hyundaiのブースでは、水素エネルギーを活用した未来のモビリティについて紹介していました。
ブースに入ってすぐ、来場者を囲むように3枚の巨大なディスプレイで流れる導入動画は迫力があり、ブースに入り込んでいく感覚を得られました。
導入動画から受ける雰囲気とは違い、ブース内は白で統一されすっきりとした印象でした。
壁面には映像を投影しその前にコンセプトカーや体験ブースを構え、中心に置かれたディスプレイでは製造から貯蔵、輸送、利用までの水素バリューチェーンソリューションを紹介しており全体の情報が整理されとても見やすい展示だと感じました。
展示内容では未来の物流システムを構想したCITY PODの展示が印象的でした。
荷室がトラックの中心にあるこのトラックは自動運転を前提としているため運転席がなく前後が同じデザインも印象的でした。
小川:Googleは実店舗かと思うクオリティのブースを構えていました。
展示内容はスマートホームや家電連携などが中心でありながら提供しているサービスのデモ体験やブースのつくりが印象的でしたね。カフェのよう内装や理髪店の椅子やポストなどが置かれていて、レトロポップな雰囲気を感じました。
吉田:文章を作るのをサポートしてくれるサービスがありました。Excited、Short、Shakespeareなスタイルを選択するとそれに合わせた口調で文章をつくってくれます。作った文章はポストカードとしてその場で印刷してくれて、そこにメッセージを書いて投函したり、お土産として持ち帰ったりすることができます。しかもそのポストカードが100%の再生紙で作られているところも抜け目ないです。
小川:また、スタッフの服装もダウンジャケットやベスト、パーカーなど様々なアイテムを使いつつ、色合いや質感を合わせることで統一感と個性を両方感じられました。会場の音楽に合わせてノリノリでダンスをしているスタッフもいました(笑)
吉田:ベネチアンエキスポでは、フランス、オランダ、韓国、日本などなど様々な国のスタートアップ企業が集まっています。
最初にご紹介したいのは、COLDRAWというハーブやドライフルーツなどの植物由来の素材を、真空状態で高速で抽出し、飲料を作る装置です。
試飲させてもらったのですが、美味しすぎてびっくりしました。
この製品は、「ソバーキュリアス」という近年の食文化を繊細に反映しています。「ソバーキュリアス」とは、sober=しらふとcurious=好奇心を組み合わせた造語で、べつにお酒は飲めるけどあえて飲まないライフスタイルのことを指しています。そのような人達に向けて、お酒のように嗜むソフトドリンクを提供してくれます。
最初に口に入れたときから、消えてなくなるにかけて徐々に変わっていく味を楽しむことができます。
小川:水出しの抽出時間を8時間から10分に短縮したことで今まで楽しむことのなかった色づいていく抽出過程の様子をも楽しむことができそうですね。コーヒーのように香りも楽しめそう。
吉田:まだプロトタイプということですが、商品化されたらぜひ購入したいと思う製品でした。
COLDRAWは、ボタニカル素材と革新的なテクノロジー、魅力的なユーザーエクスペリエンスを結びつけることで、ノンアルコール飲料の新たなWOW体験を提供するオープンイノベーションプラットフォームです。
吉田:BSI WIMAGINEという、脳にデバイスを埋め込んで麻痺した手足を動かすという製品の研究が、行われています。
SF感がすごいですが、有名なNature誌やその他医療雑誌に掲載されている研究で、すでに実験的な治療で成果も出ています。
BSI(Brain-Spine Interface)は、ユーザーが動きを想像するだけでコントロールすることができるそうです。動きを想像したときに生まれる脳の電気的な活動を読み取って、脊髄に伝えることで、麻痺があっても体を動かせるようにしています。このサイズのデバイスを頭に埋め込むのは、個人的には少々怖いと感じますが、いつかこれが当たり前の世界が来るかもしれませんね。
A Brain-Spine Interface to help paraplegic patients regain mobility
吉田:SUMSEIのブースが、体験づくりという点で印象に残りました。製品を展示しているエリアの裏に、製品のコンセプトを体験できる細い通路が用意されています。体験者は靴をぬいで、その通路を歩きます。最初に通るのは、濡れた石の敷き詰められたエリアで、水のぽたぽたと落ちる音が聞こえました。そのあとに海の映像が流れている砂浜、ちょっとぺたぺたとした不思議な質感の地面のエリアへと続いていきます。
体験を終えると、SUMSEIの製品である足の乾燥機でぬれた足を乾かします。
吉田:SUMSEIは韓国のライフスタイルブランドで、自然をいつでもどこでも感じられるような製品や体験を提供しています。
「自然の中での感覚体験っていいよね」っていうのを、言葉にしてしまうとチープになっちゃうと思うんですけど、それをあえて言葉にせず感じてもらうという展示方法が素敵だなと思いました。
後から知ったんですが、SUMSEIではテラリウムという空間づくりもやっているみたいです。公式の説明を引用させていただくと、「SUMSEI TERRARIUMは、自然に親しみ、五感をフルに活用する時間を提供する自然の感覚を重ね合わせた感覚体験型の展覧会です。地下の洞窟から屋上まで5フロアにわたり、徐々に感覚を呼び覚ます空間デザインによって、より深い感覚体験を生み出すことを目指している。(中略) 」と、いうことです。2022年のiFデザインアワードも受賞しているみたいですね。
韓国に行く機会があったらぜひ訪れてみたいです。
吉田:CESの会場はとにかく広くて、移動でかなり体力を持っていかれましたね(笑)
建物のサイズが大きいので近くに見えるんですが、歩いても歩いても見えている目的地に着かない現象が度々起きます。
小川:会場間の新たな移動手段としてイーロンマスクがつくったラスベガスの地下を通る新交通システム「VEGAS LOOP」を体験しました。
CESの会場3か所を結んでおり次から次へとTESLAがお迎えに来てくれます。
ほぼ待ちなく乗れたのはうれしいポイントでした。運転自体は自動運転でなくドライバーがしていました。アトラクションのような高揚感のある移動を想像していましたが思っていたより普通の移動です。トンネルの中がLEDで照らされてるのは印象的でした。
吉田:これからより広くエリアを拡大するそうなので、アクセスよくなりそうですね。またCESに来る機会があったらVEGAS LOOPや小型モビリティがもっと充実していて、楽に回れるようになることを期待しています!
Tags
Other ActivitiesAll Activities