領域を超え、視野を広げる部内教育2025.10.22

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デンソーデザイン部では、​様々​な​個性を​持った​デザイナーが​働いています。​プロダクト、​グラフィック、​UIUXなど​その​専門分野は​さまざまですが、​各領域を​横断して​知識を​深める​ために​部内教育を​行っています。​今回は、​プロダクトデザインの​基礎力を​高める​「プロダクトスキル教育」を​受講した​3名の​若手デザイナーに​活動を​振り返って​もらいました。​

自分の​デザインの​幅を​広げたい​

―教育を​受けた​背景に​ついて​

手塚:私は​普段、​展示会ビジュアルや​雑誌​広告の​作成など、​グラフィックデザインの​業務を​メインに​しています。​プロダクト関連には​少しだけ業務で​触れていましたが、​簡単な​形状しか​作った​ことがありませんでした。​頭に​思い浮かぶ立体を​形に​できるようになれば、​自身の​グラフィックデザインも​幅が​広がると​思い参加しました。​普段では​関わりの​少ない​人と​交流するのも​目標でしたね。​

菅原:主な​業務は​UIUXデザインで、​これまで​自治体​ポータルアプリや​展示会会場の​案内用UIなどに​携わりました。​私は、​自分の​触れてきた​デザイン分野の​幅が​とても​狭いと​感じていました。​学生時代は​体験を​考える​視点が​多くて。​特に​今まで​一番やった​ことが​無いのが​プロダクト関連の​スキルだったので、​挑戦したいなと​思っていたんです。​プロダクトデザイナーと​同じ​視点で​話したり、​検討できるようになりたくて​参加しました。​

上念:僕は​今年配属された​新入社員で​まだ​業務経験は​少ないのですが、​万博で​デンソーの​CO2回収技術を​伝える​展示物の​デザインや、​イベントの​サイン計画を​経験しました。​デザイン事務所の​インターンで​プロダクトデザインを​見よう見まねで​学んでいたのですが、​立体形状を​突き詰める​経験は​少なかったんです。​今回は、​複雑な​三次曲面を​持った​形状を​作る​ことに​挑戦したいと​思っていました。

左から、手塚、菅原、上念

本業を​離れた​自由な​発想で、​自らの​課題に​挑む

―教育の​題材は​「バーコードリーダーの​スタイリングデザイン」。​どのような​課題意識で、​どんな​提案を​?

菅原:​「目的に​合わせた​造形を​考える​力」を​身に​つける​ことが​目標でした。​提案は​「握力が​鍛えられる​グリップ型リーダー」です。​通常の​リーダーは​操作負荷が​少ないように​作られていると​考え、​「あえて​操作に​ストレスを​追加したら​どうなるか?」と​いう​観点から​造形を​導きました。​「握る」と​いう​行為に​着目して、​握力計や​筋トレ器具の​グリッパーを​参考に​造形しました。​

手塚:これまでは​簡単な​立体しか​作った​ことがなかったので、​三次曲面が​多い​造形に​挑戦しました。​せっかくなので​デンソーらしくない​提案が​いいなと​思い​考えたのが、​「ギャルの​ための​バーコードリーダー」です。​自分の​ネイルを​見ながら​仕事したら​モチベーション高く​働けるのでは?と​思い、​ネイルを​かわいく​見せる​ことができる​リーダーを​提案しました。​

上念:手塚さんと​課題感は​近いのですが、​これまでは​置いて​使う​モノを​幾何的な​形状で​まとめる​ことが​多かったので、​そこから​一歩​踏み出すために​「動きながら​使う​プロダクト」を​「三次曲面で​まとめる」ことに​挑戦しました。​色々​アイデア出しを​した​結果、​提案は​「鬼ごっこ専用バーコードリーダー」としました。​身体に​装着した​バーコードを​読み取り合う​遊びを​勝手に​想像して、​持って走る​動きや、​腕を​伸ばして​読み取る​動きに​合った​形状を​意識しています。​

世の​中の​見え方が​変わったかも​

―教育を​受けて​変わった​こと

上念:少しの​線や​面のゆが​みが​想像以上に​全体の​違和感に​つながる​ことを​身を​もって​学びました。​また、​面が​どのように​構成されているか?と​いう​視点を​もって​世の​中に​ある​ものを​観察できるようになりましたね。​特に、​車を​見た​際に​入ってくる​情報量が​増えた​気が​します。​デザイナーが​見せたかった​・​重視したかった​面は​ここかな?と​想像してみたり。​

菅原:まず、​自分が​いかに​身の​回りの​モノを​視ていなかったのかを​実感しましたね。​何が​良くて​何が​だめなのか、​なぜ​この​凹みが​あるのか?が​観察するだけでは​分からなくて。​形状の​理由を​探る​ためには、​実際に​触ったり、​スケッチしたりして、​必要な​構造を​推測する​ことが​必要で。​当然ですが、​すべてのモノ・形状・CMFに​理由が​あるんだなぁと。​

手塚:私は​3Dソフトを​開く​ハードルが​下がりましたね。​教育を​受けた​直後に​3Dデータを​作成して、​レンダリングして​資料に​使うことが​あって。​自分の​表現の​幅が​増えた​実感が​ありました。​あとは、​プロダクトを​学ぶことで、​少し​プロダクトデザイナーらしさと​いうか、​デンソーデザインらしさ?​みたいな​部分を​掴めた​気が​します。​触らないと​分からないような​違いに​とことんこだわる、​職人気質みたいな​ところと​いうか。​

菅原:わかります!​グラフィックでも​1ピクセルの​違いに​こだわりますけど、​プロダクトは​触って​初めて​わかる​違い、と​いう​部分が​あるのが​新鮮でしたね。​

手塚:そうそう。​グラフィックと​違って、​いろんな​方​向から​見て​形状を​考えないと​いけないのが、​難しいと​同時に​面白かったです。

配慮できる​世界が​広がっていく​

―専門分野の​異なる​3人が​同じ​課題に​取り組んだ​ことで、​気づいた​こと

手塚:専門分野が​違うように、​コンセプトの​作り方も​三者三様でしたね。​各々の​頼れる​部分を​知れた​と​思います。​同じ​課題に​取り組むことで、​改めて​自分の​特性...得意な​ことや​苦手な​ことを​理解しました。​

上念:そうですね、​同じ​課題だから​こそ、​それぞれの​視点・スタイルの​特徴が​際立っていたと​感じます。​自分の​好き!を​より​どころに​して​どんどんアイデアを​出す​手塚さん。​生活の​中で​気づいた​違和感から​出発して、​空想?​ファンタジー?を​絡めて​アイデアを​出す菅原さん。​お二人とも​プロダクト領域では​無いですが、​体験を​考える​・優先順位を​つける​能力は​どの​デザイン領域でも​変わらず​必要かつ​応用可能な能力だと​感じました。​

菅原:同感です。​背景を​よく​観察して​解決策を​フィットさせていく、​その​ために​造形を​探っていく…。​そんな​考え方​や​視点は、​専門分野関係なく​共通しているなと。​「デザイン部の​皆さんは、​なぜ​こんなに​多彩な​業務が​できるのか!?」と​不思議だったんですが、​根っこの​考え方が​共通しているから​色んな​デザインが​できるんだなと​納得したし、​専門分野以外にも​向き合う​ことで、​配慮できる​世界が​広がると​感じました。

手塚:今回は​プロダクトスキル教育でしたが、​私の​課では​グラフィックデザインの​スキルアップを​目的とした​「グラフィックデザイン塾」も​やってるので、​お二人には​そちらにも​ぜひ参加して​欲しいですね!​

自らの​専門領域を​軸としながらも、​横断的に​さまざまな​領域の​デザインを​学んでいく​ことで、​仕事の​幅も、​チームワークも​高めていく。​これからも​デザイナーの​学びは​続きます。​