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デンソーデザイン部が標榜するHX(ヒューマン・エクスペリエンス)を基軸に、未来を担う若者たちと「幸福な未来の在り方」について考えるイベントを開催しました。
デンソーは、社会活動を止めないと同時に多様な価値観と幸福感に応え"幸福循環社会を実現する"という将来ビジョンを掲げています。
"社会活動を止めない"については、モノづくりを得意とするデンソーが、品質にこだわり様々な製品を社会に届けてきたように、今後も真摯に取り組んでいくところです。
大量生産・大量消費の時代には、寸分違わないモノづくりをしてきましたが、新たな社会要請では、人それぞれ求めるモノが違う中で、その違いを多様性として大事にする必要があります。
"多様な価値観と幸福感に応える"について、デンソーは、どのように向き合い貢献していくのか?この難題に対して、インハウスのクリエイティブ機能としてできることはなにか?
掲げたビジョンを実現するための行動"ビジョンドリブン"を旗印に私たちは動き出しました。
デザイン部では、この変革期に際し"Human Experience Design"(ヒューマン・エクスペリエンス・デザイン)という新たな考えを打ち出し、社内デザイナーへの浸透を進めています。
デザイナーである私たちは、UXという言葉が生まれる以前より、使用者であるヒトを中心に設計・デザインする"Human Centered"という考えを持ち、デンソー社内においては、ヒトの気持ちに一番寄り添える部門であると自負してきました。
しかし、多様性が叫ばれる現代においては、直接の使用者のみならず、様々なステークホルダーに意識を拡張し、それらを取り巻く環境をトータルに捉える視点にアップデートする必要があります。
また、社会実装の反動による我慢やしわ寄せなど、見過ごしがちなネガティブな部分にも目を向ける必要があります。
近江商人の"三方よし"という言葉がありますが、私たちデザイナーも"創り手と使い手が満足するのは当然のこと、それが実装される社会全体に配慮できてこそ良いデザイン"というヒューマンスケールの体験価値を大事にしていかなければなりません。
多様な価値観と幸福感を構成する新しい概念の多くは若者が創り出しています。その若者たちに巡り合う"新たな場づくり"として"HXデザインがもたらす幸せ DENSO DESIGN OPEN LAB 2023"を社外イベントとして開催しました。
イベントに向けては、デザイン部のメンバーが協力し、様々なコンテンツを準備しました。
例えば、生活者にとって身近な体験である"移・食・住" 3つの未来シナリオを描いたHX絵本。そして、2040年の未来をターゲットに人々をより幸福にするアイデアを描いたHX漫画を用意しました。これらのストーリーは、デザイナーたちによる未来予測をもとに制作され、読む人が創造性を飛躍させながら、自分なりの幸せな未来を導出する役割を担いました。
そのほか、HXの概念を説明する導入映像、HX視点で製作したエネルギーマネジメントシステム、HXデザインの習得を目的とした、シンガポール南洋理工大学と名古屋工業大学との産学連携活動などを通して、私たちの考えと思いを伝えました。
イベントの初日には、SHIBUYA109lab.所長の長田麻衣さん、Loftwork Inc.の古田希生さんをゲストに招いたクロストークを開催しました。
長田さんは、毎月200人のaround 20(15歳~24歳の男女)と接する日々を過ごし"今"を生きる若者を深く知る第一人者。古田さんは、世界中のクリエイターコミュニティと協創するLoftwork Inc.で、ビジョンドリブンの事業創出に携わるクリエイティブディレクターです。
トークは幸福の定義に始まり、自己実現やそれに関わるクリエイティブ領域について活発な議論が展開されました。また、推し活やビジュアル偏重コミュニケーションなど、Z世代がなぜそのような行動に至るかの洞察に対しては、来場者した若者自身も興味深く聞き入る様子が見て取れました。
最後には、来場者が登壇ゲストやデザイン部メンバーと交流し、自分たちができることについて考え、様々な未来のビジョンについて語り合いました。
今回のイベントの参加者には、多様性という掴みどころのない概念をビジュアライズする体験もしてもらいました。
壁に立て掛けられた大きな盤面には無数の金属の鋲が打たれており、来場者は、色とりどりの紐を自分なりに紡いでいきます。紐の素材も様々で、どの紐を選択し、どのルートで掛けていくのか、何ひとつルールはありません。年齢も性別も違う様々な人たちが集い、影響し合い、ひとつのカタチに昇華していく様は、多様性とは何かをフィジカルに感じる不思議な体験でした。
完成したその姿はアートと呼ぶに相応しく、多様性を美しく内包したひとつの大きな円となり、来場者のつながりとしての"縁"を表現しました。
イベント期間を通してたくさんの若者とお話することができました。彼らが自分たちなりの世界を大事にしている様子や、他の人への気遣いを深い視点で持っていることに驚きました。直接対話するという機会により、会社内では得ることができない熱を感じることができました。
「来て良かった」「イベントに満足した」と言ってくださる方が100%というアンケート結果はとても嬉しく、私たちの投げかけに若者が響いてくれたという実感を持つことができました。
このアンケート結果に満足することなく、この踏み出した一歩を次につなげるチャレンジを続けていきます。
FabCafe Nagoya デザインで描ける幸せな未来って?
-DENSO DESIGN × 未来を描く学生-
未来をつくるZ世代を集めたトークセッション レポート
https://fabcafe.com/jp/magazine/nagoya/230929_denso_design/
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Creative Direction: Yukihiro Kajita
Project Management: Hiroyuki Yamamoto
Project Lead: Tomoe Ota
Cross Talk: Masaki Inomae, Chihiro Miyai
Event Design: Erika Sawada, Gen Orikasa, Shiho Ichimura, Takaya Ogawa
Event Support: Shun Goi, Ayako Ishikawa, Maiko Sato, Tomomi Hotta, Takeshi Yamada, Shunya Tsurumi, Tomoki Ikoma
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