デンソーは多様な価値観・幸福感に応える「幸福循環型社会」をビジョンとして掲げています。 その実現に向けて、2040年にデンソーが取り組んでいるかもしれない「ユーザを幸せに導く」製品やサービスを漫画で描きました。 便利・快適にする領域に取り組むだけでは零れ落ちてしまう多様な幸福を描き、社内外から意見を収集することで、幸福を開発し提供するとはどういうことかを考えました。
このプロジェクトでは、サービス像や社会像とそれがもたらす個人の幸福を描くことが求められていました。これまではこうしたビジュアライズは、映像やポスターなどで描くことがほとんどでした。
しかし、今回のビジュアライズに求められていたのは、下記の4点です。
・幸福を共感できる形で描くこと
・製品やサービスがどのように機能するか、誰が見ても間違いなく伝わるように描くこと
・未来の社会像を説明しすぎず、直観的に理解できるよう描くこと
・関心を惹き、短い時間で内容が理解できる方法で描くこと
こうした条件を考えていくと、漫画で描くことがふさわしいのではないかと考えました。
・感情を豊かに描くことができ、共感を得ることができる
・ユーザが製品を利用するシーンを時系列に沿って、丁寧に描くことができる
・背景や小さなコマにも、どういった世界なのかを盛り込むことができる
・これまでにない描き方で注目を集めやすく、印刷したものも手軽に配布できる
個人的に漫画が持つ「関心を惹く力」「起承転結を分かりやすく描ける力」に関心があり、いつかプロジェクトに活かしたいと思っていたこともあり、SFプロトタイピングの手法も参考にしながら、デンソーデザインとして初めての取り組みである漫画でのビジュアライズにチャレンジをしました。
漫画はデンソーの様々な事業・研究領域を対象にして、デンソーがこれまで提供してきた製品の更に一歩先、ユーザの幸せに繋げるにはどうあるべきかを考えました。
私たちでシナリオの骨子や時にはネームまでを考え、実際に漫画を制作するフェーズは漫画家やイラストレーターと協力しながら進めました。
私達は物語を作る経験が少なかったため苦労した部分もありましたが、新しい取り組みはやりがいがありました。また、漫画家やイラストレーターの皆様が持つアイデアや絵の魅力、シナリオライティングの力の高さに助けらることで、制作を進めることができました。
完成した漫画の活用方法について、多様な幸福感を考えるにあたり多くの人の意見を聞く必要があると思い、まずは社員向けへの発信をしました。内部向けWebサイトでの広報や、食堂で印刷した冊子の配布をし、見た方からアンケートで意見収集を行いました。
実施してみて感じたのはモノの強さです。Webでの広報より、冊子での配布の方が多くの人に届いたようで、配布後に社内から多数の問い合わせが寄せられました。1万人を超える人が密に交流することができる会社というリアルな場を、どう活かしていくかは、今後もっと考えていくべきだと感じました。
一方で、多様な幸福を考えるにあたり社内だけの意見では不十分なため、ジャパンモビリティーショー2023、DENSO DESIGN OPEN LAB 2023へ漫画を出展しました。学生の方やお子さん、年配の方などデンソー内にはいない多くの方にご覧いただくことができ、多様な幸福を考えるヒントが多く得られました。
アンケートでは、それぞれの漫画で描かれたシナリオについて、「共感度合い」と「この幸せに対してどのくらいお金を払えるか」の二点を聞いています。
幸福が受容されるか、積極的に取り入れたいものか、更にそれを超えて対価を払ってでも得たいものかを測ることで、どういった幸福がどういった人に求められているかを理解し、デンソーが携わるべき幸福を明らかにしていきます。
漫画は現段階で6本公開していますが、23年度末に向けて3本追加する予定です。
また更新された際にご覧いただき、アンケートにご回答いただけると嬉しいです。
Member
Project Management: Yuji Tsuchiya
Poject Lead: Chihiro Miyai
Art Direction: Yuki Yoshioka, Kento Morikawa, Chihiro Miyai
Other WorksAll Works